睡魔に負けて、本州に入りきれずに、因島の大浜パーキングエリアで夜を明かした後、山陽道に乗って一路姫路を目指します。
今日11月15日は、モノレールファンにとっては特別な日です。
あの姫路モノレールが、ついに一般公開される日が来たのです。
といっても、正式公開は2年後ですが、それに先立つ移転作業の合間に、1日だけ特別公開されるとのこと。
今回の四国旅行は、実はこれにあわせて計画したのでした。
さて車はほぼ予定通り、お昼ごろに姫路は手柄山に到着しました。
過去に姫路駅からレールを少しだけ辿ったことはありましたが、手柄山まで来たのは今回が初めてです。
Webの写真で見慣れた建物を目指して登ると、てっぺんではテントが数張建てられて、すでに多くの人でにぎわっていました。
そこから、サンクガーデンに向かうと・・・
広々とした庭園のむこうに、青と白の車体が見えました。
―――― ドリームランドのモノレールに出会ったことから始まった、廃モノレールへの興味。
かつては自宅の古い地図で存在を知るのみであり、その姿など想像でしかなかった、かつての未来交通。
時は進み、ネットで多くの情報が得られる時代になって、幻だった姫路モノレールの車両を写真で見る機会ができ、そしてそれらはまだ現存しているということを知ることができても、実際に目で見ることができる日など、決して訪れないのだろうと思っていました ――――
サンクガーデンの坂を降りながら、徐々に近づいてくるモノレールを見ても、まだなんとなく幻を見ているような気分でした。
人出は一段落したようで、柵のすぐ前まで容易に近づくことができました。
車体の正面に立ち、その姿を見上げました。
鉄骨で組まれた仮設軌道に、牽引用のジャッキに連結された姿で、秋の日差しの下に誇らしげに佇む姿に、なぜかこみ上げるものがありました。
存在は知っていても、特別な思い入れがあったわけではありません。
ただ、35年間も暗闇に押し込まれ、誰もが人知れず朽ちていくだけと・・・
このモノレール自身ですらそう思っていたに違いありません。そんな絶望感とともに手柄山の中でただじっとしていた、この車両に気持ちがあったなら・・・。
昨日は雨で、車両の雨漏りなども心配しましたが、これからまた山の中に入って余生を過ごす身ですから、35年ぶりの天然のシャワーも、気持ちよく浴びられたのではないでしょうか。
現場には、モノレールの台車が、ロッキード式の特徴をよく観察できる状態で展示されていました。
2時からの説明会を聴講してから、かつての駅コンコースで行われた資料展を見学しました。
その中に、モノレールの搬入の写真がありました。
トラクターに引かれて、山を登ってくるモノレール。
脇には歓迎の関係者がたくさん並んでいます。
モノレールは、とても誇らしそうな顔をしていました。
それは、今日の顔と同じでした。
当たり前、ですが、かつて駅の中でほこりを被っていた写真とは、明らかに違う表情でした。
展示場の隣には、かつて車両が保管されていた検収庫が、もぬけの殻となっていました。
残念ながら展示に漏れた2両は、この中で、ついに二度と空を見ることなく鉄屑となってしまいました。35年間も一緒にいた4両の仲間で明暗を分けたというのも、考えると複雑な気持ちになりますが、それでも2両も残されたということを喜びたいものです。
最後になかなか凝ったパンフレットを頂き、手柄山を後にしました。
次は正式公開、かつてのホームで美しくなった姿を、ぜひまた訪ねて見たいものです。
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